こんにちは、武藤です。

この記事では、「フリーミアム」という戦略について解説します。
フリーミアム(freemium)とは、
「無料で有益なものを提供して人を集め、その一部の人から課金するビジネスモデル」
のことで、フリーミアム戦略や、フリーミアムモデルと呼ばれます。
ここからは、フリーミアムの事例や、ビジネスに活用する方法を解説していきます。
もくじ
フリーミアムの身近な事例
ここから、フリーミアムモデルが採用されている、身近な事例を紹介します。
サンプル
「お試し」や「サンプル」が用意されている商品は、すべてにおいてフリーミアム戦略が採用されています。
食品売り場の試食コーナー
スーパーの食品売り場には、試食コーナーが設置されている場合があります。
例えば、店員さんがその場でギョウザを焼いて「一口いかがですか?」と勧めてきます。
食品を買うとなると、最初からお金を払うのが当たり前です。
しかし、そこではギョウザを無料でもらうことができます。このため、多くの人が試食をしたがります。
これが、「無料で人を集める」という部分です。
試食をした人のうち、ギョウザを気に入った人はお金を出してそれを買います。
これが、「一部の人に課金をする」という部分です。
化粧品やサプリメント
化粧品やサプリメントのテレビCMを見ていると、「無料お試しセットを差し上げます」「無料で1箱プレゼントします」という案内をしていることがあります。
本来、化粧品やサプリメントはお金を出して購入するものです。それが無料でもらえるため、多くの人が問い合わせを行います。
これが、「無料で人を集める」という部分です。そして、このサンプルは本当に無料でもらうことができます。
しかし、その後に企業から必ず電話がかかってきます。最初は、「お肌の調子はいかがですか?」などと親身に話を聞いてくれます。
その後に「月額◯◯◯円でサプリメントを継続購入しませんか?」と勧められます。
これが、「一部の人から課金をする」という部分です。すると、無料で試した人の1割ほどが、継続購入を決断します。
スマートフォンアプリ
ほぼすべてのスマートフォンアプリで、フリーミアムモデルが採用されています。
LINE(ライン)
例えば、「LINE」というメッセージアプリがあります。これにも、フリーミアムモデルが採用されています。
これを使うと、無料でメッセージのやり取りや、通話を行うことができます。
今でこそ有名なLINEですが、かつては誰も知らない存在でした。
しかし、メールよりも手軽にメッセージのやり取りができ、無料で通話まで行うことができます。これにより、多くの人がLINEを使うようになりました。
これが、フリーミアムモデルにおける「無料で人を集める」という部分です。
しかし、この時点でLINEは1円も儲かりません。むしろ、アプリの開発や宣伝に必要な費用だけがかかるため、大赤字です。
そこで、こうして無料で集めた人に対して、課金を試みます。
例えば、「スタンプを買いませんか?」「背景画面の着せ替えをしませんか?」という提案をします。
すると、一部の人が課金をします。
ゲームアプリ
スマートフォンでは、無料で遊べるゲームアプリがたくさんあります。
携帯電話が登場するまでは、無料で遊べるゲームなどほぼ存在しませんでした。
いきなり数千円を払って、ショップでゲームソフトを購入しなければなりませんでした。
しかし、ゲームのアプリは、1円もかけずに楽しむことができます。このため、多くの人がそれを楽しみます。
これが、フリーミアムモデルにおける「無料で人を集める」という部分です。
しかし、これではアプリの開発者は1円も儲かりません。
むしろ、アプリの開発や宣伝に必要な費用だけがかかるため、大赤字です。
そこで、無料でゲームを遊ぶ利用者たちから、課金をすることを試みます。
例えば、課金をすると遊べる回数の制限がかからなくなります。
あるいは、お金を払えば、ゲームを有利に進めることができるようにします。
すると、一部の人が課金をします。これにより、開発者は利益を出すことができます。
個人のインターネットビジネスとフリーミアム
ここまで、企業が取り入れているフリーミアムの事例を紹介して来ました。
しかし、フリーミアムモデルを活用できるのは、決して大企業だけではありません。
個人が行うビジネスにも、これを活用することができます。特に、インターネットを使ったビジネスとの相性がとても良いです。
有益な情報を大量に無料公開し、一部の人から課金を行う
インターネット上で展開されるビジネスには、フリーミアムが採用されています。
まずは、有益な情報を無料で大量に公開します。これは、ブログでもYouTubeでも、SNSでも何でも良いです。
すると、多くの人が情報を求めて集まります。
そして、そこに集まった人に対して、商品を販売します。すると、一部の人がお金を出してそれを購入してくれます。
ただ、この説明はあくまで理論です。このため、あまりイメージがつかないと思います。
そこで、より深く理解をしていただくために、具体的な事例を紹介します。
僕が行なっているビジネス
例えば、僕は音楽のビジネスをしています。具体的には、ライブハウスでのイベントと、ミュージシャンを対象としたスクールを運営しています。
社員などはおらず、基本的に僕1人でビジネスをしています。
このビジネスに、僕はフリーミアムモデルを採用しています。
「音楽活動のヒント」というブログを運営し、演奏者のための情報を公開しています。また、YouTubeでも情報発信をしています。
無料で有益な情報を公開しているため、たくさんの人が集まります。これが、フリーミアムにおける「無料で人を集める」という部分です。
こうして集まった人に対して「イベントに来ませんか」「スクールに入りませんか」という提案をしています。
すると、一部の人がお金を払ってイベントに参加したり、スクールに入塾したりしてくださいます。
僕は、これによって何年も生計を立てています。
英語のスクール
他にも、個人で英語のスクールを運営している人がいます。
彼は、ブログやYouTubeなどで、英語の勉強方法やフレーズ集などを大量に公開しています。すると、英語を勉強したいという人が集まります。
これが、フリーミアムにおける「無料で人を集める」という部分です。
そうして集まった人たちに対して、「私の英語スクールに入りませんか」という提案をします。
すると、一部の人がお金を出して英語スクールに入塾します。こうして、彼はたくさんの生徒を集めています。
フリーミアムが可能なのは、音楽や英語というジャンルだけではありません。
この考え方を応用すれば、すべてのジャンルでビジネスが可能になります。
フリーミアムモデルを採用するメリット
フリーミアムモデルのメリットは、ライバルと比較して商品を売りやすくなることです。
ライバルよりも有利にお菓子を販売する
例えば、あなたがお菓子を買いに来たとします。お店には、A・B・Cというお菓子が売られています。
あなたは、どのお菓子も食べたことがありません。このため、どれを買うか迷います。
すると、店員さんが「A」だけを試食させてくれました。「B」と「C」は、試食させてもらうことはできません。
すると、あなたの行動は、次のいずれかになります。
・Aを試食して気に入り、Aを購入する
・Aを試食したが気に入らず、Aを購入しない
このとき、BとCは選択肢にも入りません。なぜなら、最初からお金を出さなければならないからです。
このように、フリーミアムモデルを採用することで、ライバルよりもビジネスを圧倒的に有利に展開することができます。
これは、食品業界だけではありません。どの業界でも、フリーミアムを取り入れている商品は、とてもよく売れます。
ブログから音楽スクールに集客を行う
先ほども書いたように、僕は音楽のスクールを運営しています。
音楽のスクールは、他にもたくさんあります。しかし、ライバルはほとんどフリーミアムモデルを採用していません。
何の情報も公開せず、いきなり「うちのスクールに入塾してください」とお願いをしています。しかも、かなり高額です。
生徒からすると、「このスクールに入塾して大丈夫だろうか」と心配になります。このため、ほとんど生徒を集めることができません。
僕は有益な情報を、無料で大量に公開しています。このため、たくさんの人が僕の存在を知ってくれます。
そして、「この人のスクールなら間違いない」と思ってもらえます。この結果、毎月入塾希望者が増えている状況です。
このように、個人のビジネスでもフリーミアムモデルを採用することで、圧倒的に有利となります。
フリーミアムモデルの重要なポイント
フリーミアム戦略を採用するとき、多くの人が犯す間違いがあります。それは、無料でレベルが低いものを提供してしまうことです。
無料のものを、「無料だからこの程度で良いだろう」という気持ちで提供してしまうのです。しかし、これでは絶対にうまくいきません。
例えば、試食で考えてみましょう。
なぜ、ギョウザを試食した人の一部は、お金を出してそれを購入をするのでしょうか。それは、ギョウザが無料なのに美味しいからです。
なぜ、無料でゲームを遊ぶ人の一部は、課金をするのでしょうか。それは、無料の部分が十分に面白いからです。
ギョウザがまずければ、誰もお金を出す人はいません。ゲーム自体がつまらなければ、誰も課金する人はいません。
それ以前に、試食コーナーには誰も集まらなくなります。あるいは、無料でゲームを遊ぶ人すらいなくなります。
これを考えると、無料でも決してレベルの低いものを提供してはいけないことがわかります。
フリーミアムの課金率
フリーミアムモデルを採用する場合、無料のものを手に取る人のうち、どれくらいの割合の人がお金を使うのでしょうか?
これは、全体の5%程度と言われています。
例えば、スマートフォンの無料アプリを使う人のうち、課金をする人は利用者の5%程度です。95%の利用者は、1円も使いません。
フリーミアムモデルとは:まとめ
ここまで、「フリーミアム」というビジネスモデルについて解説してきました。
まとめると、次の通りとなります。
・無料のものを提供して人を集め、一部の人から課金するビジネスモデル
・試食、化粧品のサンプル、スマートフォンアプリなど、さまざまな分野で活用されている
・フリーミアムは、個人のインターネットビジネスと相性が良い
・ライバルよりも有利に販売を進めることができる
最後までお読みくださり、ありがとうございました。