こんにちは、武藤です。
あなたは「これを逃すともう手に入らない」と思うと、商品を欲しくなったことはありませんか?
・もうすぐ閉店するレストランに行く
・旅行先でしか買えないお土産を買う
・「残り1名」だけが参加できる講演会に参加する
僕たち人間は、入手しにくいものの価値を高く感じます。
逆に、いつでも簡単に入手できるものの価値を低く感じます。
これを、希少性の原理といいます。「希少性」は、「限定性」と呼ばれることもあります。
もしあなたが、ビジネスやマーケティングをしているとします。
この場合、希少性の原理を活用することで、売り上げを数倍に増やせる可能性もあります。
今回の記事では、「希少性の原理」の詳細と、マーケティングにおける活用事例を紹介します。
記事の内容を動画でも話しました。中央の再生ボタンを押してご覧ください。
もくじ
希少性の原理が働く2つのパターン
この希少性の原理が働く場面には、2つのパターンがあります。
それは、「数量の限定性」と「期間の限定性」です。
数量の限定性
数量の限定性とは、「◯個しか手に入らない」というタイプのものです。
例えば、次のようなものです。
・このお弁当は1日限定5食しか提供していません
・僕の講演会に参加できるのは、先着50名のみです
需要に対する供給を少なくする
数量の限定性を活用する際は、「どれくらいの数量を供給するか」が重要となります。
ただ単に数量を限定すれば良いのではありません。
供給する数量は、需要に対して少ないものである必要があります。
例えば、「先着100名限定」の講演会を開催するとします。
しかし、その講演会に行きたいと思う人が、10人しかいなければどうでしょうか。
これでは、需要に対して供給が圧倒的に大きいです。
この結果、講演会のチケットはいつまでも売り切れません。
お客様も、「いつでもチケットを買うことができる」と考えます。したがって、希少性の原理が働きません。
逆に、講演会に行きたいと思う人が、10万人いればどうでしょうか。
こうなると、需要に対する供給は圧倒的に小さくなります。そして、チケットを手に入れるのは難しくなります。
このようにすることで、「欲しい!」という気持ちを喚起することができます。
大手企業も希少性の原理を活用している
携帯電話やゲーム機の新機種が発売されるとき、品薄が起こることがあります。
品薄とは、需要に対して商品の供給が追いつかない状態を指します。
マスコミも、「人気の◯◯が品薄になっている」「◯◯を購入できるまで3ヶ月待ちになっている」などという報道をします。
お客様からすると、「欲しいのに買えない」という状態になります。
そして、商品を求める気持ちをさらに強めていきます。
また、商品を販売している企業も「想定外の売れ行きで十分な数量を用意できません」というアナウンスをするのです。
このとき、多くの人は「本当に想定外の売り上げなんだな」と感じます。しかし、あなたはこれを本当だと思うでしょうか。
一流企業には、必ずプロのマーケティング担当者がいます。彼らは、かなりの精度で販売予測を立てられます。
大規模な工場も抱えており、十分な数量を供給することも可能なはずです。
例えば、100万人の人が商品を欲しがっているとします。このとき、企業は100万個の商品を生産することもできます。
しかし、彼らは絶対にそうはしません。100万個の需要があることを知りながら、あえて10万個だけを供給しようとします。
これにより、意図的に品薄を起こします。なぜなら、希少性の原理を知っているからです。
もちろん、企業は表立ってそのようなことは言いません。
しかし、マーケティングを学んでいる人からすると、これは常識です。
期間の限定性
期間の限定性とは、「◯月◯日の〜時以降になると手に入らなくなる」というタイプのものです。
ここからは、期間の限定性が働く具体例をお伝えします。
地元の観光スポットに足を運ぶ
地方から東京に旅行する際、多くの人が足を運ぶ場所に「東京タワー」があります。
僕は、小学校1年生まで東京に住んでいました。ところが、僕は東京タワーに登ったことが一度もありませんでした。
「東京タワーに登ってみたい」という気持ちはありました。しかし、それを行動に移すことはありませんでした。
なぜなら、気が向いたときにすぐに行けるからです。
しかし、翌年から札幌へ引っ越すことになりました。
このとき、初めて東京タワーを登りました。なぜなら、引っ越すことで足を運べなくなるからです。
地元の観光スポットには、いつでも足を運ぶことができます。このため、希少性の原理は働きません。
しかし、地元を離れると、足を運ぶのが難しくなります。このため、期間の限定性が働きます。
この結果、地元の観光スポットが持つ価値を高く感じるようになるのです。そして、引っ越しの前に足を運ぶようになります。
閉店が決まったラーメン屋に行列ができる
もう1つ別の例を話します。僕の自宅の近くには、ラーメン屋がありました。
いつも前を通りますが、行ったことがありませんでした。なぜなら、いつでも足を運べるからです。
これは、希少性の原理が働いていない状態です。
しかし、このお店が今月いっぱいで閉店することになりました。つまり、来月になるとラーメンが食べらなくなるのです。
こうなると、期間の限定性が働きます。一度は食べておきたいと、ようやく足を運びました。
店の前に着くと、いつもの倍以上の行列ができていたことを覚えています。
おそらく、僕と同じように考えた人たちもまた、足を運んだのでしょう。
希少性の原理を活用する方法
ここまで、希少性の原理と、その実例を紹介してきました。
基本的に、数量または期間を限定して商品を販売するようにしてください。
そして、その希少性をお客様にきちんと伝えるようにしてください。
しかし、ビジネスによっては、希少性の原理を活用することが難しい場合もあります。
レストランで希少性の原理を活用する
例えば、あなたがレストランを経営しているとします。このとき、「このお店は1ヶ月間しか運営しません」というのは厳しいですよね。
本当にそれをやれば、1ヶ月後に売り上げはゼロになってしまいます。
そこで、メニューに希少性を持たせます。
例えば、「1日限定5食」のように、数量を限定したメニューを作っても良いです。
あるいは、特定の月や季節限定のメニューを提供していきます。
これにより、レストラン自体は1年中営業していても、来店を促すことができます。
特典に希少性の原理を活用する
例えば、あなたが英会話の先生をしているとします。そして、英語の教材を販売するとします。
ただ、教材自体はずっと売り続けたいと考えているとします。
このような場合は、数量や期間を限定した特典をつけるようにします。
例えば、次のようなものが考えられます。
・誕生日の月に購入してくれた人は、教材を5000円割引します
・先着5名の購入者には、Skypeを使ったマンツーマンレッスンを提供します
・◯月◯日までの購入者には、東京で行う無料英会話セミナーに招待します
このようにすることで、教材自体はずっと売り続けても、希少性の原理を活用して売り上げを伸ばすことができます。
希少性の原理を活用するポイント
ここまで、希少性の原理について紹介してきました。
ただし、何でも良いから希少性をつければ良いというわけではありません。コツが存在します。
嘘をつくと二度と効果を発揮しない
希少性の原理を使う際、お客様に対して嘘をつく人は多いです。例えば、次のような販売者がいます。
「限定5食のみの販売と言いながら、50食以上販売している」
「◯月◯日までの販売と言いながら、1週間後もずっと売り続けている」
しかし、このようなことは絶対に行わないようにしてください。なぜなら、お客様の信用を失うからです。
「この販売者は嘘をつく」と思われてしまうと、二度と希少性が効果を発揮しなくなります。
例えば、僕は「本日限定50%OFF」という店で靴を買ったことがあります。
そのときは、自分は得をしたと思っていました。
しかし、その店では翌日も、1週間後も、靴が50%OFFで売られ続けていました。
これには、「慌てて買う必要はなかった」と感じました。
以降、そのお店で「本日限定」という表示を見ても、二度と信用しなくなりました。
希少性の原理を活用する際は、「絶対に嘘をつかないこと」を肝に銘じてください。
希少性の原理が持つ効果を強めるには
希少性の原理を活用するとき、「限定◯個です」「◯月◯日までの販売です」とだけ言う人は多いです。
しかし、それだけでは不十分です。希少性を伝える際は、その理由を必ずお客様に伝える必要があります。
例えば、あなたが英会話の講師だとします。これから、マンツーマンの英会話レッスンを、先着5名に対して販売するとします。
このとき、「先着5名のみレッスンを受け付けます」とだけ言うのでは不十分です。
次のように、希少性の理由を伝えなければなりません。
今回のマンツーマンレッスンでは、スタッフに任せるのではなく、すべてのレッスンを私自身が行います。
また、せっかくレッスンを受けていただく以上、最高の内容に仕上げたいと考えています。
このために、一人一人にあったカリキュラムを作成します。
したがって、どうしても人数を限定せざるを得ません。
このため、今回の募集は先着5名さまのみとさせていただきます。
いかがでしょうか。
希少性だけを伝えると、
「限定と言いながら、本当はもっと募集するのではないか」
「この人は希少性を煽って、焦って商品を購入させたいだけなのではないか」
と思われてしまいます。この結果、希少性の原理が持つ効果が薄れてしまいます。
しかし、理由をセットにすることで、この問題を解消することができます。
このように、希少性の原理を活用する際は、必ず「理由」をセットにするようにしてください。
希少性をつけることに抵抗を感じたら
商品の希少性を訴えることに、抵抗を感じる販売者は多いです。例えば、次のように考える販売者は多いです。
「お客様の心情を煽るようで、抵抗がある」
「数量や期間を限定せず、常に提供した方が喜ばれるのではないか」
しかし、それは考え方が逆です。むしろ、希少性の原理を活用することは、お客様を幸せにします。
購入してもらわないと幸せにできない
先ほども書いた通り、お客様はいつでも買えるものを買いません。希少性を伝えないと、商品を購入するお客様は減少します。
あなたは、お客様を確実に幸せにする商品を販売しているはずです。
もしそうであれば、希少性を使わず商品を買っていただけないということは、お客様を不幸にします。
これを防ぐためにも、希少性の原理を活用する必要があります。
そして、商品を購入してくださるお客様を増やすことが大切です。
希少性を使えない人は商品に自信がない
希少性の原理を活用できないということは、商品に自信がないということです。
なぜなら、「お客様は商品を購入しない方が幸せなのかもしれない」と、心のどこかで考えている証拠だからです。
僕は、自分の提供する商品に絶対の自信があります。だからこそ、堂々と希少性の原理を活用します。
もちろん、僕も最初から自信を持てたわけではありません。
しかし、商品を購入してくださった人たちが喜ぶ顔を見るうちに、少しずつそれを克服していきました。
ですから、いま自信が持てないからといって、焦る必要はありません。
成功体験を重ねて、自分の商品に対する自信を深めていきましょう。
希少性の原理をマーケティングに活用する:まとめ
ここまで、希少性の原理について紹介してきました。そして、それをマーケティングに活用する方法も話しました。
・希少性の原理とは、貴重なものの価値が高いと感じる心理
・希少性には、「数量の限定性」と「期間の限定性」が存在する
・希少性の原理を活用する際、絶対に嘘をついてはいけない
・希少性の原理を活用する際は、必ずその理由をセットにする
・希少性の原理を活用することで、よりお客様を幸せにできる
希少性の原理を活用するだけで、売り上げを2倍以上に増やすことも難しくありません。
ぜひ、あなたのビジネスに取り入れてみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。